なぜガンプラの品薄状態は続いているのか?

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なぜガンプラの品薄状態は続いているのか?

ガンプラの品薄問題が表面化したのは世界的な新型コロナウィルスが大流行した2020年。コロナが下火になるにつれて少しずつガンプラの品薄状態は解消に向かっていたのだが、2023年末あたりから再びガンプラは品薄となり、世界最大級のガンプラ販売数を誇るガンダムベースですら棚がスカスカな状態が続いています。

今回は、なぜガンプラがここまで品薄になってしまったのかを解説します。

2024年上半期のガンプラ事情

2024年のガンプラ事情は「在庫のあるものはあるが、ないものは徹底的にない」という特徴がある。これは、バンダイ側の戦略なのか、「水星の魔女」と「SEED FREEDOM」のガンプラを短いスパンで定期的に再販を行い、在庫を充実させている。特に水星の魔女はエアリアルやキャリバーンのような人気機体の在庫は売り切れることもあるが、水星の魔女関連はどこの店に行っても置いており、ヤマダ電機では少し前まで特売をしていたほどだった。

SEED FREEDOMについても定期的に再販がかかっている様子で、今はまだ在庫は寂しい状況だが、今後潤沢になってくることが予測されている。

「水星の魔女」と「SEED FREEDOM」以外のHG以上のガンプラについては、2024年4月にガンダム00のガンプラが再販されたように、小規模ながら再販をしている状況だが、こちらはほとんど入荷が無く、入ったらすぐに売り切れが当たり前となっている。

ガンプラが品薄となっている3つの理由

ガンプラが品薄な理由を「巣ごもり需要」などと寝ぼけた事を言っている人もいるが、2024年現在では巣ごもりは発生しておらず、コロナとガンプラの品薄問題は無関係と言っても良いだろう。それではなぜ、ガンプラがここまで品薄になったのか、管理人のなじみの店の店員さんに少し話を聞いてきたので情報を共有します。

そもそも入荷数が少ない

水星の魔女とSEED FREEDOM以外のガンプラは入荷数が少なく、再販品については小さな専門店では3個程度、都心部の大型店でも需要に供給が追い付いていないという状況が続いている。この状況について、管理人のなじみの店の店員さんは「販売店側も再販品の在庫を押さえるのが大変」と語ってくれました。

ガンプラはガンダムベースに在庫を集中させており、大型店でも在庫を押さえる事に苦労しており、ましてや小さな店舗ではほとんど入って来ないだろう。そもそも入荷数が少ないので、いわゆる「ブツの数に対してハンターが多すぎる」という状況が生まれてしまっている。欲しい再販品のガンプラがある場合は当面の間初動で迅速に動いて出来るだけ早くにショップに足を運ぶしかないだろう。

在庫の海外流出とインバウンド需要

2024年4月現在、1ドル155円という異常事態が続いており、日本国内はもちろんの事、アメリカでもトランプ前大統領が「米国にとって大惨事」と発言するなど、行き過ぎた状況にある。円安に乗じて自動車メーカーに代表される輸出企業は空前の利益を上げている様子ではあるが、ガンプラにとっても円安は「大惨事」であり、海外のガンダムベースではMG1つで1万円ということもざらにある。

バンダイは営利企業であり慈善団体ではないので少しでも高く売れる海外に多く在庫を流すのは当然であり、その結果、国内に在庫が回らなくなっているものと思料される。なお、アメリカの平均時給は5000円程度であり、これに円安を加味すると、HGキャリバーンの2200円という金額はアメリカ人にとっては100円程度なのだろう。

なお、東京からロサンゼルスまでのチケットは17万程度だが、これは日本人の金銭感覚から見ると、3万円程度であり、宿泊費等を含めてもせいぜい往復10万円くらいのものだろう。日本がどれだけ安い国になってしまったか、ご理解いただけただろうか。

転売問題

ガンダムベースでは1日1会計で10点まで、同一キットの複数購入は禁止という厳しい転売対策を敷いているが、それでもメルカリを始めとするフリマアプリに多数再販当日に該当ガンプラが出品される状況が続いている。ガンプラの再販当日に家電量販店などの売り場に行くと、スマホを片手に調べ物をしている人や、誰かと電話をしながら売り場を徘徊している人、そして外国人がうろうろしているのは定番となってしまった。

外国人のインバウンド需要は政治問題のため仕方がないところもあるが、ガンプラせどりと称して「ガンプラは金になる」と語る転売指南動画も多数存在する。

試しにメルカリで「ダブルオーライザー」と検索してみましょう。

HGダブルオーライザーは2200円が定価だが、3000円程度の値を付けて販売されている様子。管理人は転売についてはまるで知らない素人だが、素人目には儲け800円で本当に儲かる、と言えるのかという疑問は残るものの、転売が多いという事実だけは変わらない。

明るい話題 バンダイの新工場が稼働目前

ガンプラなどのバンダイの人気商品の需要超過に対応すべく、新しい工場を静岡県のバンダイホビーセンターに建設していたが、いよいよ2024年に稼働との情報もある。本格稼働は2024年中期頃との事なので、あと数ヵ月で動き出す事が予測される。

新工場が動けばすぐに供給が復活するとは限らず、新工場で生産した分がすべて海外に流れてしまう可能性もあるが、多少は期待できるだろう。このような明るい話題も舞い込んできてはいるものの、問題の元凶である円安とインバウンド問題を解決しないとガンプラはもちろんの事、日本の将来は明るくないだろう。

まとめ

ガンプラの品薄を突き詰めていくと、「販売店側も入荷数が少ない事」、「円安による海外流出」、そして日本に暗い影を落としている増えすぎた人口ならぬ、「増えすぎた転売ヤー」という3つの問題点がある事が分かった。

特に大きいのは円安であり、定価2200円のHGキャリバーンなんか外国人の目線から見れば100円程度なので、競争に外国人まで混ざってしまっている。特にガンダムは海外展開に力を入れており、水星の魔女の放送中は「スレッタ、忘れった」の英訳である「Suletta Forgetta」が秀逸と話題になったほどであった。そんな海外でも人気の高いガンプラが日本では100円感覚であり、非常に割安感があう。というか、ちょっとガンダム好きな人ならHGキャリバーンが100円なら買うでしょ?
余談だが、昔は1ドル300円前後の時代もあったと聞いたことがあるが、その時代だとキャリバーンは30円程度、という事になる。

ガンプラを取り巻く環境は悪く、暗い話題が先行しているが、バンダイの新工場が稼働目前という明るい情報も出ているので、今はバンダイを信じながら「大惨事」とまで言われる円安の早期終息を願うしかないだろう。

コメント

  1. 通りすがり より:

    入荷数の少なさは近所の家電量販店の在庫を見ても明らかですね。HGは一種類の商品につき4、5箱入っても、MGとなると2箱位しか入ってなさそうです。4/30にいつもより沢山の種類のMGが再販されましたが、前述の家電量販店ではそもそも入荷が無い疑惑が発生していて、もう笑うしかないです。都心ではないですが、そんなに田舎でも無い筈なんですけどね…

    メルカリのダブルオーの例は、これ送料込みの値段なので利益無いですね。手数料が販売価格の10%取られて送料が60サイズで750円しますので、定価の1割引きとかで買えてても普通に赤字です。現状、再販品を転売して「まともな」儲けが出るような需要大な商品って非常に限られているんではないかと。

    円安については、今頃になって安倍元首相の1ドル=300円発言が注目されていますが、自民党は政権奪還してから10年以上、極端な円安誘導をしてきましたので、今の状況は残念ですが至極真っ当な結果と言わざるを得ません。とは言えこんなに急に、まるで魔法が解けたかのように一気に160円まで行くとは自分も思っていませんでしたが…。20年前小泉政権の構造改革によって研究開発の基盤である大学の機能が破壊され、各企業の経営者はM&Aに有利な円高の時ですら先見性ある買収や投資をできず、ついにかつてのお家芸IT・家電技術は見る影もなくなってしまったため、日本円に価値を見出せず、円高に振れる要素が無いのが現状です。安く、殆ど観光しかない国になってしまった以上、インバウンドには頼らざるを得ないでしょう。

    新工場の稼働見込みは何より嬉しいニュースですね!
    個人的にはガンプラユーザーはやはり増えている印象で、コロナ禍で「今のガンプラはこんなに凄いのか!」と気付いた人がプラモ作りを再開し、それが継続しているのではないかと思います。そこに、以前から着々と育ててきた海外市場の隆起に伴う輸出用生産枠拡大、あと国内転売の問題も少し加わり、生産が完全に追いつかなくなった…と。
    まあ、現象としては当たり前と言えば当たり前の事なので、当たり前の解決方法である新工場の稼働に大いに期待したい所です。

    • エクシアや00ライザーはガンプラ歴が長い人であれば一度はみんな作っていると思いますが、なぜ再販に群がって転売までするのか本当にわかりませんね。
      メルカリで売った事がないのでシステムが良くわかりませんが、送料以外にも手数料がかかったと思うので、送料や手間などを考えると良い商売とは言えませんね。

      円安が落ち着くのは日米両方の指導者が変わった時だと思うので結果として表れてくるのは来年と予測されます。東京都内は外国人が勝ち誇ったように偉そうな態度で歩いていますが、今年は我慢するしかなさそうです。まあ、中国人女性は秋葉原でたまにナンパさせてもらってますが(^▽^)

      新工場の稼働は本当に嬉しですね。為替なんていつ反転するか分からないのでバンダイとしても今のうちにインバウンド需要で大量消費を狙って来ると思うので国内でも大量の流通が復活するかもしれませんね。

      • 通りすがり より:

        自分でも調べたところ、新工場完成は2025年3月末予定(つまり1年延期)になってしまったようです😅
        少なくともまだ1年間は改善しなさそうですね…

        円安は、どうでしょうねえ。ドル円だけでなくユーロ他あらゆる通貨で円安傾向がコロナ前から継続中ですので、自分はもうどうしようもないかなーと思っています。
        バンダイのプラモデルは間違いなく世界一でしょうけど、IT触ってると日本の存在感は最早無いという惨状なので、それこそ戦後の日本のように、過去の栄光に驕らず謙虚な気持ちで日々学んでいかなければと思っています。

        • 新工場が稼働すれば一気に大解決とはいかなそうですが、転売やインバウンドで暗雲漂うガンプラ界隈には嬉しい話題ですよね。
          今年はアメリカ側の指導者も変わりそうなので、日米の責任者が同時期に変わり為替の動きに変化が現れる可能性も高いと思います。とは言ってもやっぱり今年は現状で我慢するしかないでしょうね。

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